第4話「衝撃!!蓬莱山輝夜と玉兎の男の身体が入れ替わった!!」
2009年 03月 22日
永遠亭急襲!!~蓬莱山輝夜を抹殺せよ~
第4話「衝撃!!蓬莱山輝夜と玉兎の男の身体が入れ替わった!!」
「ついにみつけたぞ、蓬莱山輝夜」
輝夜の私室に、頭からウサ耳を生やした一人の男が降り立った。
「月の追手ね…無駄よ、貴方ごとき雑魚では私に手を触れることすらできないわ。おとなしく引き上げてくれるなら、命までは取らないであげるわ」
「フフフ、たしかに玉兎である俺の力では、蓬莱の薬の力を手に入れたお前にはかなわないだろう。ならば…こうすればどうかな?」
「?何をする気…」
輝夜は思わず身構えたが、一歩遅かった。
「いくぞ……ボディチェーーーーーーーーーーーーーーーーーンジ!!」
玉兎が叫ぶと、玉兎の身体からすさまじい光が輝夜に向かって放たれた。
「きゃあーーーーーーーーーーーっ!」
不意をつかれたため、輝夜はなにも抵抗できずに、その光に飲み込まれてしまう。
輝夜の私室すべてを覆うほどの光も、数秒すると消えうせた。
そして畳敷きの床には、意識を失った輝夜と玉兎が、お互いうつ伏せの体勢で倒れていた。
「輝夜!」
「姫様!大丈夫ですか!?」
そこへ、悲鳴を聞きつけて永琳と鈴仙の二人が入ってきた。
二人の目に、床に倒れている輝夜と見知らぬ男の姿が目に入る。
永琳は真っ先に輝夜に駆け寄り、声を掛けた。
「輝夜!大丈夫?」
「う、う…ん」
「よかった…意識はあるようね」
輝夜は少し身を起こすと、そばに倒れている玉兎を見た。
「ええ…私は大丈夫よ、永琳」
輝夜は口の端を少し吊り上げ、ニヤリと笑みを浮かべながら応えた。
「姫様を狙うとは…不届き者め、師匠、いますぐとどめをさしましょう」
そう言うと鈴仙は指先を玉兎に向け、弾幕を放つ体勢をとる。
至近距離で最大級の弾幕をくらえば、命を落とすこともある。
「待ちなさい、鈴仙」
「ひ、姫様、どうして止めるんですか?こいつは、姫様の命を狙ったんですよ?」
「玉兎の連中はまだまだたくさんいるわ。こいつに仲間の情報を吐かせるの。そうしたら、玉兎たちを掃討するのも容易くなるわ」
「そ、そうですか、しかし…」
「永琳、こいつの尋問は私に任せて。永琳と鈴仙は、永遠亭の中にいる玉兎たちを一人残らず捕まえるのよ」
「…現時点では、それが最善の策ですね。輝夜の言うとおりにしましょう。鈴仙、残りの玉兎のところへ向かうわよ」
「は、はい師匠!姫様も、相手は手負いとはいえ、油断なさらないでくださいね」
「わかっているわ、任せて」
そういって、永琳は鈴仙を連れて部屋から出て行った。
「ふふふ、月の賢者である八意永琳でさえも、俺が蓬莱山輝夜であるとしか思わないようだな。」
突然、輝夜は男口調でしゃべりだした。
そう、今、輝夜の身体には先ほど輝夜を襲った玉兎の男の魂が入っていた。
そして玉兎の男の身体には、輝夜の魂が入っている。
輝夜と玉兎は、お互いの身体が入れ替わってしまっていた。
「これが輝夜の身体か…たしかに、すさまじい力を感じる。しかし、これも蓬莱の薬を使った結果。禁断の方法に手を染めた罰は、しっかり受けてもらうぞ…」
輝夜は床に倒れたままの玉兎を背負うと、永遠亭の地下牢へと運び込んだ。
「うー…ん、ここは…」
輝夜は目を覚ました。
周りは見慣れた自分の私室ではなく、床と壁がゴツゴツした岩で、目の前には鉄の格子、という風景になっていた。
輝夜自身はほとんど来たことがないが、ここは永遠亭の地下牢だ。
「どうして私がこんなところに……早く、出なくちゃ」
輝夜は外に出ようとしたが、格子には鍵がかかっていて、出ることができない。
「なによこれ、これじゃまるで私が閉じ込められているみたいじゃない。もう、面倒だわ」
輝夜は格子から少し距離をとり、片手を突き出した。
弾幕を放ち、それで格子を破壊して外に出ようとした。
しかし、輝夜の手から弾幕はおろか、弾の一発も出ることはなかった。
「ど、どうして!?弾幕が出ないなんて…」
「フフフ、それはお前が蓬莱山輝夜ではなくなったからだ」
「だ、誰!?」
「俺は…蓬莱山輝夜だ」
「え…わ、私!?」
輝夜の目の前、格子の向こうに、自分と同じ姿の女が現れた。
その輝夜そっくりの女は鍵を使い、輝夜のいる牢屋の中に入ってきた。
「まだ気づかないのか?自分の今の姿をよく見てみるんだな」
「自分の姿?」
そういわれて、ようやく輝夜は自分の姿を見回してみた。
着物風のいつもの上着とスカート、ではなく質素なシャツとズボンという服装。
ゴツゴツした身体つき。
自慢の長い黒髪はなく、短くなった髪。
声も、低い声変わりした声になっている。
「こ、これは…私を襲ったあの玉兎!?」
「そのとおりだ。あのとき、俺はお前と自分の身体を入れ替えたのだ。今のお前は力なきただの玉兎にすぎん、観念するんだな」
「観念なんてしないわ…それより、私の身体を早く返しなさい、命令よ!」「まだ自分の立場がわかっていないようだな、罪人の分際で。少し痛い目に遭ってもらおう」
玉兎に向かって手をつきだす輝夜。輝夜の手から、数発の弾幕が放たれる。
「きゃああああっ!」
それをまともにくらい、ふっとぶ玉兎。
「うう…」
「まだまだ、こんなものでは、われわれ月の民を裏切った罪は消えんぞ。お前は、じっくり苦しめてから、殺してやる」
続く
by tohotoho2 | 2009-03-22 18:33 | 東方入れ替わり小説