秘封倶楽部外伝 マエリベリー・ハーンと八雲紫の身体が入れ替わった!!   

2010年 10月 08日

秘封倶楽部外伝
マエリベリー・ハーンと八雲紫の身体が入れ替わった!!







近しい未来の世界。
メリーことマエリベリー・ハーンは境界を視る能力を持っていた。
メリーは同じオカルトサークル「秘封倶楽部」のもう一人のメンバーであり大切なパートナーでもある宇佐見蓮子と遺跡や心霊スポットを回っているうちにこことは違う異世界というべき「幻想郷」に一人だけ迷い込んだことがある。
そのときは無事こちらの世界に帰ってこられた。
しかしそのとき、メリーはある妖怪に目をつけられていた。


メリーと蓮子が通っている大学構内で、メリーは蓮子との待ち合わせ場所に急いでいた。
今日は休校ということもあり、人の姿もまばらだ。
メリーはあたりに誰もいない通りを、スカートをひるがえしながら小走りに走っていると。

「はぁい。こんにちは」

突然、空間が黒い三日月状に裂け、その中から紫色のドレスをまとった女性が現れた。

「!!な、なにこの人」

メリーは目の前の女性を見た。見た目は普通の人間だが、登場の仕方からして明かに異常だ。
メリーはかつて行ったことのある幻想郷で出会った「妖怪」という存在の匂いを、目の前の女性から感じ取っていた。
そして驚くことに、目の前の女性は顔や髪の毛、姿形全てがメリーそっくりだった。

「初めまして、私は八雲紫と申します。貴女は……マエリベリー・ハーンさんですよね?」
「そ、そうですが……何の用ですか」

紫と名乗ったメリーそっくりの女性はスタスタと歩いてメリーに近づいた。

「さっそくですが、これを見てください」

紫は自分の顔を片手で覆い、またすぐに手を下げた。
そこから見えた顔は。

「きゃああああああ!」

メリーと同じ整った美しい顔はそこにはなく。肌は乾燥してボロボロ、そして皺だらけの老いた顔だった。

「ご覧の通り、この身体は長く使いすぎてもうガタが来てしまっていますの。私のこの身体と、あなたのその若くて力の溢れている身体と交換させてもらいますわ」

「こ、交換するって何を言ってるの!?それに、力といっても私には……」

そこまで言って、メリーは心当たりを思いついてはっとなった。

「そう、あなたは私と同じ力を持っている……境界を操る力をね。あらゆる世界を探して、ようやくみつけたわ、私の新しい肉体(ボディ)を」

「……!!」

メリーは振り返り、一目散に逃げだそうとした。

「逃がさないわ、私の肉体。……チェンジ!!」

メリーは世界がぐにゃりとねじれたような感覚を味わい、そのまま足がもつれて倒れ、気を失ってしまった。


「うーん」

メリーが気がつき、体を起こすと。
そこにはメリーがにこやかな笑顔を向けて立っていた。

「きゃあっ、私がいる!?」

「ふふふ、やっぱり新品の身体は最高ね。力がみなぎってくるわ。お礼を言いますわ、マエリベリー・ハーンさん。いえ、もう八雲紫……かしら」

そう言われて、メリーははっとなり、自分の顔をさわった。
皺だらけでかさかさの肌の感触が指に伝わってきた。
乾燥した肌がパラパラと地面に落ちる。

「い、いやあああああああああああ!!」

「その身体は差し上げますわ。どうせもう力もほとんど使えないですし。それでは私は幻想郷に帰ってやることがありますので、ごきげんよう」

そう言ってメリーの身体を乗っ取った八雲紫は、来たときと同じように黒い三日月状の空間を開き、その中に体を飛び込ませる。

「ま、待って!私の身体……」
「さようなら」

紫はメリーの顔で優雅に微笑んで挨拶しながら、黒い空間を閉じた。






八雲紫は境界を操る能力を持っている妖怪である。
しかし妖怪は長寿とはいえ、確実に年を取り、身体も老いて能力も衰えてくる。
紫は変化の力で表面上は若さを保っていたが、限界が来ていた。
そこで、紫は自分の身体を、自分と同じ力を持つ誰かの身体と交換しようとした。
そして、見つけた。マエリベリー・ハーンという、自らと同じ境界を操る能力を持った少女を。
こうして紫は新しい身体を得て、また長い刻を生きることになった。








幻想郷の外れにある神社、博麗神社。
神社の縁側では、神社の巫女・博麗霊夢が八雲紫に茶を出してもてなしていた。

「あんた、なんかちょっと若返ってない?」
「あら失礼ねぇ、霊夢。私はずっと若い少女のままですわ」
「はいはい……なんていうか、紫は紫なんだけど、別人の紫のような気がするのよね。なぜかしら」
「あら、私は私よ」

紫はスキマを宙に開いてみせた。

「こんな力が使えるのは、私ぐらいしかいないでしょう?」
「それもそうよね……悪かったわ、さっき私が言ったことは忘れてちょうだい」
「そうするわ。ねえ霊夢、お茶をもう一杯くださるかしら」
「あんたさっきから何杯飲んでるの!」










大学内にあるカフェテラスで、宇佐見蓮子は待ち合わせ場所の席にやってきた。

「あれ、ずいぶん遅れたと思うけど、まだメリー来てないのかなぁ」

見ると、テーブルの上に書き置きが置いてあった。

「メリーから?なになに……」




手紙を読むなり、蓮子は慌てて駆けだしていった。
おそらくメリーを捜しにいったのだろう。

そんな蓮子を遠くから眺めている者がいた。
八雲紫だ。正確には、八雲紫と身体を交換された、八雲紫の身体を持ったマエリベリー・ハーンだ。

「蓮子、ごめんね……しばらく会えないけど、きっと、自分の身体を取り戻してまた蓮子に会いに来るから」

メリーは自分の顔に手をかざす。
皺だらけだった顔が、元の美しい顔に戻る。
しかし、これは一時的なものだ。時間が経てば、また元の皺だらけの顔に戻る。

メリーは三日月状の空間を開いた。
練習して、この空間を開くことができるようになった。

「まだこの身体には多少の力が残っている……力が使えるうちに、あいつを追わないと。幻想郷に行くって言っていたわね……まさか他人の身体になってまたあの世界に行くことになるとはね」

メリーはその空間に自分の身を飛び込ませた。行き先は、幻想郷。
自分の身体と、蓮子との未来を取り戻すために。




完。
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by tohotoho2 | 2010-10-08 08:12 | 東方入れ替わり小説

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