博麗霊夢と先代博麗の巫女の身体が入れ替わった!!
2010年 11月 02日
幻想郷を維持している博麗大結界。
その結界の管理をしているのが博麗の巫女であり、今代の巫女は博麗霊夢が務めている。
博麗の巫女は基本的に一定の年齢に達すると次の代の巫女にその任を譲り、引退する。
霊夢の先代の巫女も、一定の年齢を経たため、そのまま引退し、静かな余生を送っていた。
が、その先代の巫女が、久しぶりに霊夢の元を訪れていた。
「霊夢、久しぶり!元気でやってる?」
40代とみられる女性が神社の境内で掃き掃除をしていた霊夢に声をかけた。
「せ、先代!?どうしてここに!?」
霊夢は目を見開いて驚いた。
先代の巫女はいきなり霊夢に抱きつくとヘッドロックをかけてきた。
「ん~、なに、可愛い後輩の顔を見に来たというだけじゃ駄目なの?」
「うっ、ゲホゲホ、そんなこと一言も言ってない……せ、先代、苦しい!」
霊夢は先代の体を必死で叩いて抗議した。
しばらくして、霊夢は解放された。
先代の巫女は社務所内に案内され、霊夢が出した茶を飲んでいる。
「霊夢も大きくなったわねぇ。そろそろ、私の全盛期の頃と同じぐらいの背格好になったかしら」
「そりゃあ、先代が引退してもう5年以上経ちますからね。そういう先代は、けっこう老けましたね」
歴代の巫女は全員美貌の持ち主で、先代の巫女もその例に漏れず美人だったが、今はさすがに年を取り、よく見ると黒髪の中に白髪が見えたり、口元や目元にほんの少ししわが見えたりしている。
「あっはっは、あいかわらずはっきりものを言う子ねぇ。私はまだ40代よ?」
「もうじゅうぶん中年です。それに、私の性格は先代に似たんです」
霊夢ははきはき切り返しつつ、先代の巫女に二杯目のお茶を注いだ。
「今日はほかでもない、霊夢に用事があったのよ」
「はぁ、なんですか一体……って、その札は?」
先代巫女が突然1枚の札を取り出した瞬間、霊夢は身構え、そのまま立ち上がった。
すると先代の巫女が瞬間移動でもしたかのように、一瞬のうちに霊夢の前に接近してきていた。
「相変わらず勘の鋭い子ね、でもまだ反応が遅いわ」
言うと、先代の巫女は霊夢の額に札を貼り付け、もうひとつ取り出した別の札を自分の額に貼り付けた。
「くぅっ!?」
霊夢は一瞬、よろめき。すぐにまた、何事もなかったように体勢を立て直した。
代わりに、先代の巫女がなぜかよろめき、膝をついて座り込んでしまった。
「な、なにが起こったの?急にめまいが……」
先代巫女は、やや青ざめた顔で霊夢を見上げた。
「え……っ、わ、私がいる!?」
「あはは、どう、自分で自分の姿を見る気分は?」
霊夢はにやにやと笑顔を浮かべながら、先代の巫女を見下ろしている。
「その口調……まさか先代!?じゃあ今の私は……」
先代の巫女は自分の体をあちこち触ってみた。この年にしては垂れていない巨大なおっぱいを揉んだりしてみた。
「やっぱり……先代、ちょっと悪ふざけがすぎますよ?」
「実はねぇ、引退した巫女が時々こうして現在の巫女と身体を交換して気分をリフレッシュする、っていう博麗の巫女に代々伝わる習慣があるのよ」
「そんなの初めて聞きましたよ!」
ちゃぶ台を囲んで、再び霊夢と先代の巫女が茶を飲みながら話し合い?をしていた。
さっきまでと違うのは、二人の中身が、そっくりそのまま入れ替わっている、ということだった。
今は、霊夢の魂が先代巫女の身体に、先代巫女の魂が霊夢の身体に入っている。
「そりゃあ、今まで一度も言わなかったからねぇ」
「まったく、この人は……」
「言っとくけど、この習慣は本当にあるのよ?私も、前の代の巫女に何度か身体を入れ替えられたし。ま、若い頃に年を取るってどうことか体験しておくのも、いい勉強よ?」
「そんなのは、年を取ってから知ればいいです」
「とにかく、今日一日は霊夢の身体を借りるわよ。お札をはがしたら、あとはほっといたら1日ぐらいで身体は元に戻るから」
霊夢は立ち上がり、身体をぶんぶんと捻ったりしてみた。
「あー、やっぱり若いっていいわねー。そうだ霊夢、私の巫女服ってまだあるわよね?」
霊夢は、ずずず、とお茶をすすっている先代巫女のほうを振り向いて聞いてきた。
「倉庫に三日分ぐらいは綺麗にしまっていると思いますが……まさか私の身体で着るんですか!?」
「やっぱり自分の巫女服じゃないと落ち着かないのよねー、久々に『博麗の巫女』をやりたいし、着慣れている服のほうがいいじゃない?」
先代巫女は倉庫から先代用の巫女服を持ってきて、霊夢はそれを受け取り、さっそく着替えた。
「あー、これを着ていると若い頃を思い出すわぁ。私と霊夢って体格は似ているから、サイズも問題ないわね」
霊夢は先代の巫女服の胸のあたりを触ってみた。だいぶ布が余っている。
「さすがにここだけはだいぶ余っちゃうわねぇ」
「殴っていいですか?先代」
見ると、笑顔で拳を握りしめている先代巫女がいた。
「冗談よ、冗談。さーて、それじゃ久しぶりに博麗の巫女やってくるわ」
「あんまり無茶しないでくださいよ?先代の身体と違って、私の身体はそれほど肉弾戦に向いてないんですから!」
「分かってるわよ、それじゃ行ってくるわねー」
霊夢はお祓い棒など特に持たず、素手のまま空高く飛び上がっていった。
「はー、ま、あの人のことだから心配はないと思うけど。私のほうがちょっと心配だわ。さっきからちょっと体が重いのよね……これが年を取るってことなのかしら」
先代の巫女は庭に降りてほうきを取り、さっきまで霊夢がやっていた境内の掃除の続きを始めた。
by tohotoho2 | 2010-11-02 23:00 | 東方入れ替わり小説