ゆかてん 東方緋想天外伝 比那名居天子と八雲紫が食事中に口移しで食べさせ合いっこした!!
2010年 11月 03日
東方緋想天外伝
比那名居天子と八雲紫が食事中に口移しで食べさせ合いっこした!!
天人の比那名居天子と妖怪の八雲紫はいろいろあった末に、結婚した。
幻想郷の端っこ、人里からちょっと離れたオンボロ空き屋を改装して住めるようにし、結婚した二人の新居とした。
八雲紫は幻想郷全体の管理の仕事があり、天子は天界と地上の友好を広げる大使の任に自ら就いて働いており、日中は二人とも家を空けていることが多い。
それだけに家事は交代制にして、どちらか一方だけに負担がかからないようにしていた。
そんな、幸せな新婚生活が続いている中の、とある日。
今日は天子が夕食当番の日だった。天子は早めに仕事を終わらせ、自宅に帰って夕食の支度に取りかかった。
「ただいま~」
そのうちに、紫も帰宅してきた。玄関に入った紫を、エプロン姿の天子が出迎える。
「お仕事お疲れ!ゆかりっ!」
天子は紫に飛びつき、そのまま唇を重ねる。
「んっ……」
とはいっても、キスはそれほど長くは続かない。ほんの数秒、唇を触れ合わせる程度の、挨拶代わりのキスだ。
二人は抱き合ったまま、顔だけを少し離す。
「天子もお疲れ。貴女だってお仕事していて疲れているでしょう?食事の支度、私も手伝うわ」
「ううん、大丈夫!紫にこうして会っているだけで、私、元気でるから!」
「もう、そういうことさらっと言わないでよ。……嬉しくなるじゃない」
紫は頬を紅潮させてやや照れてみせた。
「あはは。それに……手伝ってもらうほど、今日もそんなに献立が豪華じゃないし」
「それもそうね。じゃ、お言葉に甘えさせてもらって、ちょっとゆっくりさせてもらうわ」
「うん、待っててよ、もうすぐ出来るから!」
そう言って天子はフリルふきエプロンを揺らしながらまた台所へと戻っていった。
「いただきまーす」
「いただきます」
天子と紫はちゃぶ台を挟んで向かい合わせに座り、手を合わせていただきますの挨拶をした。
さっそく食事を始める二人。
「いい匂いね、このお味噌汁」
味噌汁から手をつけることにした紫は、お椀を持って椀の端から軽く味噌汁をすする。
「あ、あつっ!」
味噌汁が少し熱すぎたためか、紫は軽く噴き出した。
「ご、ごめん!ちょっと沸騰させすぎたかも」
「う、えほっ。だ、大丈夫よ、ちょっとびっくりしただけ。もう少し冷ましたほうが良さそうね」
紫は味噌汁を後回しにし、他のものから口をつけることにした。
「それにしても……」
「ん、どうしたの、天子」
「いや……なんか、朝食みたいな夕食だなぁって」
見ると、夕食の献立は白いご飯に味噌汁、焼いたメザシが何匹か、あとは漬け物の白菜を切ったものが副菜としてあるのみだ。
夕食としては質素な部類に入るだろう。
「ごめんね、私がもっとやりくりできれば……」
天子はしゅんとして、青い髪を揺らして少しうつむいた。
「それを言ったら、別に私もお金稼いでいるわけじゃないしね。結婚生活を始めるときに、それは言いっこなし、って決めたはずでしょ」
「うん……それはそうなんだけど……」
「私は、天子の手料理が食べられるというだけで、とても満足しているわよ。どんな豪華な料理より、天子の手料理のほうがよほど美味しいわ」
「え、えへへ、そう……かな」
紫に褒められ、天子は沈んでいた気持ちもどこへやら、一気に満面の笑顔になった。
「まあ、天子の作った料理が食べられるレベルになったのも、最近のことだしね」
「あーーっ、それを言う!?いいじゃない、お嬢様やってたんだから、料理なんてしたこともなかったのよ!」
食事の場の空気が、いっきに和やかなものになる。
「ね、ねえ紫、お願いがあるんだけど」
天子が少しおずおずしながら紫に話しかけた。
「ん、なに、お茶?」
紫は天子がお茶のおかわりが欲しいのかと思って茶瓶に手を伸ばしかけた。
「そうじゃなくてその……く、口移しで食べさせてほしいの!!」
「ぶぶっっ!!」
紫はやや下品に、口の中で咀嚼中だったメザシを吹き出した。
「きゃあああ!紫、大丈夫!?」
天子は慌てて布巾を取り出し、ちゃぶ台の上にこびりついたメザシを拭き取る。
「だ、大丈夫だけど……いきなり何言い出すのよ天子!」
「だってその……おかずがつつましい代わりに、そういう愛する人同士がするようなことをしたら、ちょっとは盛り上がるんじゃないかなって……」
天子は少しうつむいて上目遣いに紫を見て、手の指と指をつっつき合わせてもじもじしながら話しかける。
「それにその……純粋に口移しを紫とやってみたいって気持ちもあるし……」
そんな天子を見て、紫は箸を置き、立ち上がって天子の隣に寄り添うように座り込んだ。
「仕方ないわね、わがままお姫様の言うこと、聞いてあげましょうか」
「だ、誰がわがままよ!もう!」
「うふふ。それじゃ、さっそくやってみましょうか。言っておくけど、私もやったことないから上手じゃなくても我慢してよ」
「べ、別に上手とか、そんなの期待してるわけじゃないんだから!は、早くやりましょうよ!」
「はいはい、天子は可愛いわね。それじゃ、最初は食べやすいご飯からにしましょうか」
紫は左手で天子のぐっと抱き寄せ、右手で箸をもち、まずは一口分ほどご飯を飲み込んだ。
数回口を動かし、軽く咀嚼する。
その紫の口を動きを見ただけで、天子の心は高鳴った。実は口移しは結婚前から憧れていた行為なのだ。
天子の興奮は最大限に高まっていた。
(紫の口の中のが私の中に……ど、どうしよう、普通にキスする感じでいいのかな)
by tohotoho2 | 2010-11-03 23:52