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東方創想話 「即奏」様 『V.S.O.P. - July 20, 2010 Ready』ほか   

2011年 04月 28日

東方SS読書会 @wiki


東方創想話の作品について語り合う企画『東方SS読書会』。
そのまとめwikiはこちら。

東方創想話
作品集120
『V.S.O.P. - July 20, 2010 Ready』

『V.S.O.P. - July 20, 2010 Steady』

『V.S.O.P. - July 20, 2010 Go!!』
作者「即奏」様



プリズムリバー三姉妹、その中でもリリカがメイン。



感想は下↓に。












感想。

次の読書会のお題ということで読んでみました。


単に「ルナサは水が苦手だよ」という話なのかと思いきや、後半になるにつれてむちゃくちゃ壮大になってきて驚き。
結論から先に言うと、これは読んでよかった!と思える内容でした。


プリズムリバー三姉妹をメインにしたような作品だと、どうしてもリリカ視点になってしまうみたいやね。以前に読書会でプリズムリバーメインものがあったときもリリカ視点だったので、「プリズムリバーものだとリリカ主人公な展開しかないのかなぁ」と、ちょっとワンパターンに感じてしまう。まぁ、それはこの作品の欠点というわけじゃないし。性格的に癖がなく、末っ子ということで精神的にも未熟なので成長物語を描きやすい、などなどリリカ主役にしたほうが話を作りやすいというのがあると思う。私もプリズムリバーで話を書け、といわれたらリリカ主役にすると思うし。



呼び方が面倒なので、前編、中編、後編という言い方を使います。

前編。
プリズムリバー三姉妹と村紗、早苗という組み合わせが新鮮。プリズムリバーものといえば、原作でも関わりの深い東方妖々夢キャラ……とくに白玉楼と八雲一家が関わる話が多い、というイメージがあります。でも、原作で特につながりのない村紗と早苗が三姉妹と絡む、というのはなかなかに珍しくて、それだけで興味を引きます。

キャラ造形は、まぁちょっとありがちな感じかな。特に早苗。ロボオタクで、小傘に対してさでずむ、フリーダムな発言と、二次創作の早苗の典型例みたいな感じ。あまりにテンプレすぎて、この話ならではの個性がちょっと欲しいな、とか思ってしまったり。

ローエングリン……ガンダムSEEDネタか!パロディネタについては、特に解説が入るわけではないので、ネタが分からない人にはちょっと楽しめないかも。

雨避けに役立ちそうな人妖を次々と挙げていってどんどん却下していく流れ。「繰り返し」というギャグの基本をいっていて、このへんは見ていて楽しかった。

村紗が最初に出した案は、特に問題ないと思うのだけど。ライブ中にアンカーを落下させるから悪いのであって、雨が降るのは確定事項なのだから、ライブ開始前からアンカーを降ろしておいて、会場設営して、それでライブ開始すれば全く問題ないと思う。なぜ、「ライブの最中にアンカー落下」という発想になったのか、ちょっとここは理解に苦しみました。なんか、話の都合で無理に却下した感じがします。

プリズムリバー三姉妹と村紗。おお、そういえば霊つながりであったか。村紗ってあんまり霊という感じがしないんだよねぇ。
単に霊つながりではなく、一旦は生きる意味をなくしていたけど、現在は生きる意味を見出している、という意外な共通項も。このへんのシリアスな絡みは、良いと思いました。

ルナサが水を怖がる理由。レイラの葬儀時に雨が降っていたから。んー、ちょっと取ってつけた理由のような感じがしないでもない。でもシンプルで分かりやすい内容で、これはこれで納得できる。

中編のベギラゴンのあたりとか、ちょっとギャグの暴走が行きすぎていた感じ。まず、ここで読むのをやめそうになりました。

後編。
長い!!ちょっとこれは、読むのをあきらめかけるレベル。ライブのシーンは、もちろんカットできるような部分はないし、それぞれのパートに意味があって、なおかつ内容も濃いから、納得のできる長さではあるのだけど……。

魔理沙と、霧雨のオヤジさんとの絡みが、唐突な感じ。直接話し合うとかではなく、ライブを通じて、離れていても心と心が通じ合う、という交流の内容自体は良い。でも、ライブ開始になって、いきなり魔理沙問題を出させてきても「え?」となってしまう。それなら、前編の喫茶店のシーンに魔理沙も登場させていて、ちゃんと伏線を張っておくべきだったと思う。


三姉妹が演奏している曲が、東方の曲になっている、というのはかなりオリジナリティ溢れる内容で、そんな発想があったか!と驚きました。
幻想郷で名前が知られている人妖は、良くも悪くも個性的だから、たしかに彼女たちに個別のテーマ曲を作ってみたい、演奏してみたい、という欲求も普通に納得できます。

はたてが出ている。たしか時期的に、ダブルスポイラーが出てまだ間もない時期のはず。出番は短めながら、文をライバル視している、という彼女の個性はしっかり出ていた。

アンコールの話題が出たあたりで、「ああ、絶対アンコールはあるな」と予想できました。でも、アンコールが2回ある、というのは意外でした。
最初のアンコール曲のときは、何の曲で締めるのだろう……と思っていたら、キャプテン・ムラサでびっくり。でも、村紗はこの話では準主役といっていいぐらい、物語内における比重が高い人物だから、村紗の曲が選ばれるのも当然か。

アンコール2曲目は、プリズムリバーメインの話だし、その曲になるだろうなぁとは思いました。

観客の上空のバリアも取っ払って、観客も一緒に雨に濡れる、という展開は熱い。
東方萃夢想の曲は好きなので、この曲が来たときは「おおっ!」と内心、驚喜しました。

後編冒頭の、お気楽に見える幻想郷住人だけど、暗い過去も持っている、でもそれがなんだ、大切なのは明日に向かって今を生きること、というテーマがかなり深い。後編冒頭は、かなり印象に残りました。


雲海を割って参上する早苗。海を割るのは彼女の得意とするところですが、まさか「雲海」を割るとは!早苗、かなりかっこいい。


悪いところは……タイトルに興味を引かれない。「V.S.O.P.」って結局なんのことだったの?


全部読み終わって、「これは万点いっているだろう」と思って得点を見たら、後編でさえ万点を超えていないことに驚き。これだけの内容で、これだけしか点が伸びていないの!?と思ってしまった。
タイトルが意味不明なのと、後編が長すぎるので、それで読んでもらえていないような気が。



ちょこちょこ不満はありますが、やはりライブのシーンは圧巻。テーマも一環していて、それをきちっと描ききっている。悪のりっぽいところもあるけど、ギャグシーンは明るく楽しい。文章そのものも、非常に読みやすいです。
久々に、読んでよかった!と思えた作品でした!

by tohotoho2 | 2011-04-28 18:48

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