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八雲紫と老人の身体が入れ替わった!!   

2010年 09月 20日

ゆかてん
八雲紫と老人の身体が入れ替わった!!



「今日は敬老の日よ!普段は傍若無人な貴女も、今日ぐらいはお年寄りに優しくすることね!」
「……あなたに言われたくないんだけど」

比那名居天子は紫にそれだけ言うと、さっさと去っていってしまった。
天子は今から天界の老人ホームに行ってお年寄りの慰問をするらしい。
あの不良天人がそこまで成長したかと思うと、紫としても感慨深い気持ちはあった。
しかしせっかく久しぶりに会ったのだから、デートでもしたかった。

妖怪である自分が人間の年寄りを気遣ういわれはないのだが、愛しい天子の言うことだ、たまには聞いてやろうと思い、紫は人里に向かった。


紫が訪ねた民家は里の外れにあり、おじいさんが1人だけで住んでいるようだった。
どうやら寝たきりの生活をしているらしい。

紫は老人に挨拶すると、今日一日だけ世話をしてあげることを伝えた。
老人はたいそう喜んだ。
自分の世話をしてくれることに加え、紫のような美人に相手してもらえたらそれだけで嬉しいだろう。
だが紫は気づかなかった。相手が力のないお年寄りだと思って油断していたのだ。
その老人が、獲物を狙うような目をして紫を見ていたことに。

老人が口移しで薬を飲ませてほしい、と言ってきたときは紫はさすがに殴り飛ばそうかと思った。
紫は慣れない愛想笑いを浮かべ、やんわり断りをいれた。

身体を拭いてあげたり服を洗濯したり掃除をしたり、紫は献身的といえるほど世話をした。

そして夕方。
紫はそろそろ帰ることを伝えると、老人は別れのキスを求めてきた。
紫は本気で殴ってやろうかと思ったが、今日は敬老の日で、相手はいたいけな老人で、なにより天子にお年寄りに優しく、と言われている。
紫は一生に一度、と思えるぐらい頑張って寛大な気持ちになって、老人の頬にキスをしてやることにした。

紫の唇が老人の頬に触れるか触れないかのとき。
老人の顔つきが豹変した。悪魔のような邪悪な顔つきに変貌し、紫の唇を奪った。

「んっ……!!」

紫は目を見開いて驚き、すぐさま、老人を突き飛ばした。

老人は激しく床に腰を打ち付け、紫を見上げた。
その顔には狼狽の表情が浮かんでいた。

「な……」

紫は突き飛ばした老人を見て唇の端をつり上げて笑みを浮かべた。
そしてそのまま、老人のほうは振り返りもせず、老人の家から出てそのまま姿を消してしまった。

「だ、誰か……」

老人はあまり元気に動かない口をぱくぱくさせ、目尻に涙を浮かべて家の入り口に向かって助けを請うていた。




「え!?紫が行方不明!?」

次の日。天子は藍から紫が昨日から八雲邸に帰ってきていないこと伝えられた。
昨日までの紫に変な様子はなかった。
天子は昨日の紫の様子を思い出す。そういえば、自分は紫に、お年寄りに優しくしろ、と伝えた。
ならば、誰かお年寄りに会いに行ったはず。
天子は幻想郷中の老人の家を訪ねて回った。

「はぁはぁ、ここで最後……」

天子は幻想郷中の老人がいる家を訪ねて回ったが、てがかりはなかった。
里の外れにあるこの家が、老人がいるという最後の家だった。

「すみませーん、誰かいますかー?」

天子が見るとそこには寝たきりらしい老人が1人寝ていた。
その老人はすぐさまこちらを見ると、こちらを見て口をぱくぱくさせている。
その目からは涙がこぼれだしていた。

「え、な、なに、どうしたの!?」

いきなり見知らぬ自分を見て泣き出すなんて尋常ではない。
天子は老人に近寄ると……














と、老人の口が動いた気がした。
天子の身体に衝撃が走った。そして理解した。
この目の前の老人こそが、八雲紫なんだと。




「うう、ごめんね……」
「なに言ってんの、こんな状況だもの、当たり前でしょう?ほら、腕あげて」

とりあえずこの事態は八雲藍、博麗の巫女と、限られた者にしか天子は伝えなかった。
藍も霊夢も紫の身体を奪った老人の行方を追っている。
この幻想郷にはもういない可能性もあるため、藍は外の世界にも足を伸ばしている。

そして天子は。紫の介護をしていた。

あれからもう一ヶ月の時が過ぎていた。
天子も、あまり動けない身体の紫の世話にもかなり慣れてきていた。

天子はシワだらけの身体であろうが、頭に毛が一本もなかろうが、しなびた男性器が股間にあろうが、かまわず世話をした。
お湯で濡らしたタオルで全身を拭いた。
食事が飲み込めないときは口移しで食べさせてあげた。
咳き込んでいる夜は一晩中背中をさすってあげた。

紫は相当弱気になっていたのか、死にたい、とつぶやいたときもあった。
そのときは天子は盛大な張り手をくらわしてやった。

「殴るわよ!」
「……殴ってるじゃない……」
「あんたの身体は私が絶対に取り戻してあげるから!!このまま紫を逝かせたりはしないわよ!私を信じなさい!!」
「……天子……」

天子は紫を抱きしめ、キスをした。シワシワで、水気など失った唇に。
天子は服を脱ぎ、紫の服も脱がせ、そのまま裸同士で肌を重ねた。

「いやっ、私、こんな身体なのに……」
「女でも男でも若くても年寄りでも妖怪でも人間でも、紫は紫よ。私の紫への愛を知らしめてあげるんだから……!」

天子は自分の身体の全身を使って奉仕した。
すでに打ち止めになっている老人の身体は反応すらしなかったが。天子の愛情を全身で受け止め、感じ、心の中でイッた。




「比那名居天子、犯人が見つかった。外の世界に逃亡していたようだ。どうやら、今回のように他人と身体を入れ替えるということを何度もしてきているらしい」

藍から知らせを受け、天子はすぐさま外の世界に向かった。

八雲紫は、いや紫の身体を奪った老人は、あるいかがわしそうな部屋で男どもと乱交していた。
顔には派手なケバケバしい化粧をしている。
この半年間、たぶんこんな風に紫の女の身体を使って快楽を行使しまくっていたのだろう。

「返してもらうわよ、紫の身体」

天子は老人と対峙した。

「ふふふ、どうせあなたにこの身体を元に戻すことなんてできやしないわ」

老人は半年の間に女口調が身についているらしかった。紫の口調を真似ているであろうその言葉を聞いているだけで天子は腹が立った。

「ふん、なら……こうするまでよ!」

天子は緋想の剣を老人に刺した。
心臓の位置を貫いていた。

「え……な……!!」
「さようなら」
「おのれ……なら、今度はお前の身体を奪ってやるわ!!」

老人は天子にキスをする。
今度は天子と老人の身体が入れ替わった。

「ふふ、前の身体は惜しいが、この身体もなかなかの美人……な!?」

天子の身体になった老人は驚いた。身体が固まったかのように動かないのだ。

「あらかじめ、薬を飲んで自分の身体が動かないようにしておいたのよ。全てが元に戻るまで、おとなしくしてもらうわ」

後から藍もやってきて、動かない天子の身体を回収して、幻想郷へと戻った。

まず天子が紫の境界を操る能力で老人の身体の紫と、天子の身体の老人の魂を入れ替えた。
次に紫が、紫の身体の天子と、天子の身体の紫との魂を入れ替えた。
これで、全てが元に戻った。


紫は境界を操り、老人の「外見が変化しない」よう施し、その後、地底の地獄の釜へと放り込んだ。
いくらその熱さで叫び声をあげても、身体は燃えない、死ぬことができない。
地獄の業火の中、老人は永遠の苦しみを味わっていた。





「紫、ごめんなさい、元はといえば私があんなこと言ったから……」
「気にしてないわよ、私だって天子がいつかおばあちゃんになったらお世話してあげないといけないし」
「なっ、私はそう簡単におばあちゃんにならないわよ!」
「ふふふ、それに……私がヨボヨボのおじいちゃんになっても、変わらず愛してくれた……嬉しかったわ。好きよ、天子」
「ふ、ふん、そんなの当たり前じゃない……私だって、紫のことが好きなんだから!」

天子と紫は抱き合い、今この幸せを確かめるように唇を重ねるのであった。





完。

by tohotoho2 | 2010-09-20 07:54 | 東方入れ替わり小説

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