邪悪な龍に肉体を入れ替えられ、逆に封印されてしまった博麗霊夢
2012年 07月 02日
邪悪な龍に肉体を入れ替えられ、逆に封印されてしまった博麗霊夢
博麗霊夢はふとしたことで、邪悪な龍の封印を解いてしまった。
目の前の巨大な龍の、金色の瞳が爛々と光っている。
それはとても邪悪な意志を感じさせた。
(ワシは八雲紫によってこの地に封印されていた。だがそれも今日で終わりだ)
(博麗の巫女……まさか幻想郷で最強の力を持つ者の肉体が手に入るとはな)
「な、なんですって!?」
龍と目を合わせてしまった霊夢は、目をそらすことができなくなっていた。
(さあ……入れ替わるぞ)
「きゃ……きゃああああああああ!!!!」
霊夢の肉体に何者かの存在が入ってくる。
おそらく、いや間違いなく、さきほどの龍だろう。
霊夢の肉体に精神だけを侵入させ、肉体を乗っ取る算段だろう。
(冗談じゃないわ……私の肉体は私のものよ!)
霊夢は必死の抵抗を試みた。
自分だって、歴戦の戦いを経てきた、妖怪退治の専門家だ。
たとえ龍相手でも、精神力の戦いで負けるはずはない。
そう、確固たる自信を持っていたが……
急に、霊夢は自分の肉体の感覚が失われるのを感じた。
(え……うそっ、なんで……!?)
霊夢は負けたのだ、精神と精神との戦いで。
それだけ、相手の、邪悪な龍の、博麗霊夢の肉体を手に入れたい、という邪な執念が勝ったのだ。
博麗霊夢の精神は、慌てて元の自分の肉体に戻ろうとした。
(は、早く私の肉体に戻らなきゃ……って、きゃああああ!?)
だが、博麗霊夢の精神は、強力な見えないなにかの力によって、自分の肉体とは正反対の方向へ引っ張られていく。
霊夢が、自分が引っ張られている方向を見ると……そこには、先ほどの邪悪な龍の巨体が横たわっていた。
(ま、まさか……いやっ、そんなの……いやぁぁぁぁあああ!!)
霊夢の叫び声もむなしく、博麗霊夢の精神は、巨大な龍の中へ入ってしまった。
そして霊夢は、自分の精神と龍の肉体が一体化したことをしっかりと実感してしまっていた。
「キ、キシャアアアアアアア!!」
霊夢の精神が吠える。しかし、それはもう人間の言葉ではなくなっていた。
「くくく、どうじゃな、ワシの肉体になった気分は」
博麗霊夢は立ち上がり、口の端をつり上げてニヤニヤといやらしい笑みを浮かべている。
(返して……私の肉体を返して!!)
龍が再び咆哮する。
「うふふ。何を言っているの?私は博麗の巫女、博麗霊夢よ。私の肉体は、私のものに決まってるじゃない」
霊夢の中の邪悪な龍は、霊夢の口調を真似て冷たく言い放った。
「そしてアンタは幻想郷に仇なす邪悪な龍。今度こそ出てこられないように、完璧な封印をしとかなきゃねぇ」
霊夢は愉悦のこもった笑みを浮かべ、ペロリと舌なめずりした。
「キシャアアアアアアアアア!!」
龍は最後の抵抗を試みる。
しかし、封印も完全には解けておらず、巨体を十分に動かすことすら出来ない。
「夢想……封印」
霊夢が放った七色の光の玉が龍を襲う。
たちまち龍は光の障壁に覆われ、そのまま地底深くへと、轟音をたてながら沈んでいった。
「くくく……、さようなら、邪悪な龍さん。今日から私が博麗霊夢になってあげるわ」
「んっ……んん、これが人間の娘の肉体か……やわらかくて、気持ちのいいものだな」
博麗神社に戻った霊夢は、自分のおっぱいを両手でつかんで、モミモミと揉んでいた。
肉体交換の術を行っても、肉体と精神が一致するまでには、一ヶ月ほど時間がかかる。
その間は、また肉体を元に戻されてしまう可能性がある。
しかし、逆に一ヶ月を過ぎてしまえば、二度と元の肉体に戻されることはない。
邪悪な龍は一生、博麗霊夢の清らかな肉体のまま過ごすことが出来るのだ。
「ふ、しかしあの巫女にあの封印が解けるとは思えないがな。それより、八雲紫にワシの中身が博麗霊夢ではないと悟られぬようにしないとのぉ」
完。
後書き。
霊夢と龍
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pixiv「ゆめしき」様の作品はこちら。
ゆめしき様の上記の絵で、霊夢の表情がちょっと邪悪っぽい感じに見えたので、そこから妄想してこんなのを書いてみました。
by tohotoho2 | 2012-07-02 04:06 | 東方入れ替わり小説